ノーマーク男の美しき勝利!

今年のジロ・デ・イタリアは100回記念大会ということもあり、注目度も高い中、なんと!Jスポーツが放送権を取れず、放映しないという惨事に遭遇し、てんやわんやで、なんとかDAZNという新たなメディアで観戦することとなりました。(ジロ・デ・イタリアがなくなっている!>>)

注目は何と言っても、ダブルツールを狙う!と豪語したキンタナ。
実力は頭ひとつ抜き出ていると優勝候補筆頭でした。

さらにニバリが続き、アルといきたいところが、なんとアルは怪我で欠場という事態に・・・

正直、この時点で、いまいち盛り上がりにかけるなあ・・・と危惧していましたが、いざレースが開戦すると近年まれにみる熱戦に次ぐ熱戦であった!

この立役者はなんといっても、トム・デュムランの存在だ。

TT(タイムトライアル)スペシャリストの大柄な選手、高速巡航は文句なしだが、登りはダメでしょ・・・なんて言われていたが、気付けば、山岳ではきっちりと総合勢と遜色ない走りを繰り広げる。

TTで稼いだライバルたちとの時間差を貯金という形でため、それを切り崩しながらのクレバーな戦い方が見事にドハマり!
いっきに優勝候補に名乗りを上げる!

しかし!そんな男にも落とし穴が!

なんと走行中にお腹を下し、我慢ならず、バイクを放り出し、野原へしゃがみこんで、用をたすという前代未聞の出来事(珍事)が!?(当たり前だが、本人はいたって真剣)

それによって多くの貯金を使い果たし結果となったが、本人曰く
「いや、出すもん出したら、体が軽くなって、意外に登れたよ」

と冗談交じりのコメントも。

この余裕交じりの風格、もしかしたら、このままいっちゃうんではなかろうか・・・

と思っていたら、最後のTTで4位に転落していたが、ラストスパートとばかりに一気に前の3人を抜き去り、見事総合優勝!

 

2位のキンタナとの差は、わずか31秒!
オランダ選手によるジロの総合優勝は歴史上初めてで、オランダ国内はデュムラン旋風に!

当初ノーマークだったダークホース的存在のデュムランの活躍で、大いに盛り上がった100回記念大会。
TTが得意で、山岳では粘り強くくらいつく走りは、かつての英雄インデュラインやウルリッヒに似た脚質。

年齢もまだ若く、これからフルームやキンタナやアルなどの強力なライバルになることは間違いない。
次回はツールでのフルームとの戦いが観たいものである。

以下、デュムラン優勝コメントから抜粋
「勝ったから言えるんだけど、オランダ人初の勝利と用をたした珍事、これだけスペシャルで、記録と記憶に残る勝利はないだろうね」

「マリアローザ獲得前と獲得後の今を比べても、僕は何も変わらなよ。きっとみんなこれまでと違うように声を掛けてくるだろうけど、自分は自分でありたい。スーパースターのように気を遣われながら街中を歩きたいとは思わないし、これまでと何も変わりたくはないんだよ」

デュムラン選手、きっと人気でますね!

 

text.KOSHIKAWA

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